ZENSIN creative direction /2016
時代劇。それは日本人の美意識や理念の結集した文化といっても過言ではありません。
そのような中、本案件の打ち合せでは
今までにない面白いものを作ってほしいというオーダーを受けました。
これは言いかえれば「伝統と革新の組み合わせを行い、最も面白くなる映像とは何か」といえます。
このとてつもなく深い問いに対して、ZENSINはどれだけ応えることができるだろうか。
とても悩みがいのある機会をいただき、しばし禅問答のような日々を過ごしました。
しかし、そのブレークスルーは突然訪れました。
それはとある中国の方と雑談していた時です。
「ブルースリーって本当カッコいいよねー」
「えー古いよ!」
「・・・・!!」
日本人の僕からすればブルースリーは永遠にカッコいい存在。
しかし中国人からすれば古く感じる存在。
これは存在に対して感覚的に理解できる距離にいたからこそ、
存在が時間の概念に干渉されていくことに気づきました。
しかし逆説的な観点でいえば、離れていれば離れているほど
観察対象の良いところが見えることも示唆していました。
であれば地球の裏側の人たちと一緒に
時代劇を表現すればよいと確信しました。
そして縁あってアルゼンチンのビジュアルスタジオと連携して
本案件の映像制作を進めていきました。
テーマは切り絵。
スーパーフラットである日本文化をテーマにすることで、
制作者がアルゼンチン人であれば、民族上器質的に発達させてきた立体視文化が
否応なしに入り込んでいき、東洋と西洋の視覚文化がクロスオーバーされて造影されるであろうこと。
これをもって今までにない面白いものができる。そのような算段でした。
結果は見事、時代劇が、日本人には想像もつかない世界観で解釈され、
二次元と三次元が交錯する、不思議な面白さが宿る映像が完成しました。
映像を通じて楽しまれてみて下さい。