Our Column

静的な国語から、動的なコミュニケーション語へ

言葉が変わると、仕事が変わる

 2025/04/01 wrote

「言われた通りにやりましたけど?」というセリフ、聞いたことありませんか?この一言に潜んでいるのは、単なる責任逃れではなく、じつは“言語のモード”が変わったという、時代の話なんです。

かつては、「読解力」や「正確な表現力」——いわゆる国語的な力が評価されてきました。でも今、それだけでは通用しない場面がほとんどです。ZENSINが見ているのは、「意味は生まれるものである」という前提。言葉も、関係性も、時間と共に更新される。つまり、意味は共創されるもの。そういう時代の、言葉のあり方を考えてみましょう。

1. 国語力の時代:意味は保存され、再現されるものだった

昭和〜平成初期。文法通りに読み取り、言われた通りにやる。それが“ちゃんとしてる”とされてきました。指示は命令として機能し、説明書やマニュアル、議事録が社会の要でした。この“静的言語”の特徴は、こんな感じです。

1.意味は言葉の中にしっかり書かれている
2.言語の役割は「正しく伝えること」
3.評価は「どれだけ再現できたか」

このやり方は、構造が安定している時代にはとても有効でした。そしてもちろん、「言われたことを正確に実行する力」そのものは、今の時代でも必要不可欠です。 特に、医療や不動産、交通インフラのように、命や生活基盤に直結する分野では「指示を守る」「正確に手順通り行う」ことが最も重要です。 そこでは、勝手な解釈や応用はむしろ危険で、まず第一に「必要条件を絶対に満たす」ことが何よりも優先される。 こうした場面では、「言われた通りにやる」は、正しくて尊い姿勢です。

2. 現場で起きている“ズレ”

ただし一方で、すべての現場がこのように成り立っているわけではありません。

特に、クリエイティブな業界ではまったく別のルールがメインで働いています。 たとえば映像制作。クライアントから「背景は黒がいいかな」と言われたとき。そのまま黒にしたら……なんか、重たすぎる。印象がズレる。

なぜか?その指示の奥には「重厚感を出したい」という意図があった。そこまで対話をせず、あるいは汲み取りをせずに“言葉通り”に従うと、結果的に本質から外れてしまいますよね。

求められているのは、「必要条件を満たす」でなく、「必要十分条件をどう満たすかを構築する力」なんです。 そしてそれは、言われた内容を超えて、人がどう感じるかを直接観察し、想像し、定義し直す力でもあります。つまり、ここではただ忠実に従うだけでなく、高度な対話力、客観性、文脈読解、そして論理的裏打ちのある感性が問われます。

3. 動的言語って、どういうこと?

動的言語とは、意味が固定されてるものじゃなくて、 関係性やその場の文脈の中で、一緒につくっていくもの。

1.意味はその都度、状況によって変わる
2.言葉はナビ。問いかけ。ヒント。
3.評価は「意図にどう応えたか」

そしてここで重要なのが、忠実性と応用力は対立するものではなく、“両方あって初めて成立する”ということ。 まずは誠実に受け取る。ちゃんと聞く。そこからがスタートです。ZENSINでは、この“動きながら生まれる言語”をとても大事にしています。映像も、会話も、全てにライブ性があります。

4. 【図解】静的 vs 動的 言語構造の比較

静的言語構造(=国語的)と言語の動的構造(=コミュニケーション的)との比較

● 前提
静的言語構造(=国語的)では、「意味は言語の中に完結している」と捉える。
一方、動的言語構造(=コミュニケーション的)では、「意味は関係性や状況によって変化する」と考える。

● 目的
静的構造では、正確な理解・記述・再現が目的。
動的構造では、意図の共有、相互の納得、再構成が目的となる。

● 構造
静的:単線的で、文法に沿って構築される。
動的:多層的で、文脈的かつ補完的に構築される。

● 言語の役割
静的:情報を正確に伝える媒体。
動的:関係を調整し、意図を生成する媒体。

● 成立条件
静的:読解力と表現力が重要。
動的:感受性、洞察力、そして共創的な解釈力が求められる。

● 評価軸
静的:正解にどれだけ近いか。
動的:意図や狙いにどれだけ貢献したか。

● 限界点
静的:書かれていないことは伝わらない。
動的:書かれないものを読み取る力が重要。

● 拡張手段
静的:言葉だけで完結可能。
動的:言語に加えて、映像・音・間・表情などが不可欠。

● 具体例
静的:説明書、契約書、試験問題など。
動的:映像作品、広告、インタビュー現場など。

5. 言語だけでは足りない時代:映像と音の必要性

動的な言語では、「言葉だけ」では伝えきれない領域がたくさんあります。

たとえば、

1.声のトーンや“間”
2.空気感や違和感のニュアンス
3.表情、色彩、空間のリズム

これらは、言葉じゃ届かない。 でも、映像や音なら、一瞬で伝えられることがある。だから現代のコミュニケーションがビジュアル的になるのは、自然な流れなんです。 情報が多すぎるこの時代、感覚に直接届く手段が不可欠なんです。

6. ZENSINが向き合う言語の未来

ZENSINでは、言葉を“命令”ではなく“共鳴”として使っています。コミュニケーションが深まれば、指示はいらなくなっていきます。

その代わりに増えていくものとしては下記があります。

  • 「ここ、なんか気持ちいいね」
  • 「ちょっとこの感じ、不思議で面白い」 みたいな感想やニュアンス。

だけど、それだけでちゃんと通じ合えるし、むしろそのほうがいい映像が生まれる。 それが“意図の共有”というより、“感性の同期”なんです。

結びに:これからの「国語力」は、意味を編み直す力

「言われた通りにやった」は、もう通用しない時代。それは「考える気がない」とさえ捉えられる場合があります。そこでこれからの「国語力」は、“読み取る”ではなく“編み直す”力。

そしてその前提として、一度は忠実に理解し、誠実に受け取る力が必要です。 そのうえで、相手の意図を感じ取り、文脈を再構成し、より良い形へアップデートする。これが、現代に求められる本当の“読み書き力”だと、私たちは考えています。

ZENSINはこれからも、言葉・映像・空間・音——あらゆる手段を使って、 意味を共創し、人と人が深くつながる場をつくっていきます。

 

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