Our Column

四大物理が教えてくれる創造のシナリオ①

ミクロからはじまる秩序 —四大物理が教える“崩れて生まれる”力—

2025/03/24 wrote

以下のコラムでは、本来は相反するように見える4つの物理理論をひとつながりとして紹介します。
歴史的にはニュートン物理→アインシュタイン物理→量子力学→散逸構造論という順序で理解が深まってきましたが、
実はミクロのレイヤーがマクロを生み出しているという逆転構造も見逃せません。

そこでまず、この“四大物理”を再度整理し、それぞれの日常的な例や応用を簡潔に見ていきたいと思います。
そして結論では、この発見の順序と本質的な順序とのギャップが、現代社会にどんな希望をもたらしてくれるのかを考察します。

1. ニュートン物理:多勢に無勢とルールの世界

代表的な式:F = m a (力 F = 質量 m × 加速度 a)

ニュートンの法則は、とにかく「力」と「動き」の基本を示すものです。物体が重力によって落下し、押せば動き、止めなければ転がり続ける。とてもシンプルで、私たちの日常生活を形づくっているルールです。

たとえば、満員電車で押されれば自分の意思とは関係なく動いてしまう。大企業の資本力や国家の法律という大きな流れがあること。こうした“物理的・社会的な重力”が存在する感覚は、まさにニュートン物理が象徴するところだと言えるでしょう。

しかし、こうした確固たるルールがあるからこそ、私たちは秩序の中で安心して暮らし、次のステップを考えられます。いわば、ニュートン物理は「大地」のような存在なのです。

2. アインシュタイン物理:相対性と日常的な価値観の変化

代表的な式:E = m c² (エネルギーと質量の等価性)

アインシュタインの相対性理論は、時間や空間が固定的なものではなく、観測者の状態によって変わる「相対性」を示しました。これを日常に置き換えるなら、以下のような例が考えられます。

時間の価値観の違い
遠くにいる家族とのビデオ通話では、たとえ短い5分間の会話でも、お互いの感じ方は大きく異なることがあります。自分にとっては日常の中のささやかなひとときでも、故郷にいる家族にとってはその5分が深い安心や喜びをもたらす大切な時間であったりします。

文化や立場による価値観の違い

ある社会では常識とされる行動が、別の文化や背景を持つ人々にとっては全く異なる意味を持つことがあります。たとえば、ビジネスシーンでの礼儀やコミュニケーションの取り方は、国や地域によって大きく異なり、どちらが「正しい」というよりも相対的な価値観で判断されるのです。

個々の視点による真実の違い

同じ出来事でも、人それぞれの立場や経験によって受け取り方が変わる点も、アインシュタイン物理が示す「観測者依存性」を思わせます。ニュースや出来事に対する意見が多様である現代社会は、まさにこの相対性の考え方と通じる部分があると言えるでしょう。

3. 量子力学:心と体、波と粒子のダイナミックな関係

代表的な式:iħ (∂ψ/∂t) = Ĥψ (シュレディンガー方程式)

量子力学では、物質は波と粒子の二重性を持ち、観測によってその状態が決まるという不確定性が特徴です。これを心と体の関係性に例えると、以下のような点が挙げられます。

心と体の二重性

私たちの感情や思考(心)は、見た目や行動(体)として現れますが、その現れ方は常に一定ではなく、状況や周囲の環境、さらには内面的な「観測」によって変わります。つまり、心は常に流動的な波のような状態であり、体はその中で「粒子」として確定的な行動を取る瞬間があるように感じられます。

選択と不確定性の現実

日常の決断や瞬間的な反応も、量子力学の観測問題を彷彿とさせます。例えば、ある瞬間にどの選択をするかは、事前には確定しておらず、いろいろな可能性が存在していた状態から一つに絞られる。そのプロセスは、観測によって「決まる」という点で、量子力学の波動関数の収縮に似ています。

複雑な相互作用の例

社会的なやり取りや感情の交流もまた、一見ランダムで不確定な部分があり、予測不可能な展開を見せることがあります。これもまた、量子力学的な不確定性が日常の人間関係に似た側面を持つと言えるでしょう。

4. 散逸構造論:反骨精神と協調の融合、そして日常への応用

代表的な式例:反応拡散方程式(Brusselatorモデルなど)

散逸構造論は、システムがエネルギーや物質を外部と交換する中で、秩序だった新たな構造を生み出す現象を説明します。この理論は、単なる力学や静的な均衡だけではなく、変化や創造、さらには協調と反骨精神が同時に存在するダイナミズムを捉えているのが特徴です。

余談※このあたりは佐藤航陽さん曰く、今後は、独自性(可能性の信頼:量子力学)×フリーライド(既存の枠組みの活用:ニュートン物理)が大切とのことですが、まさに量子力学×ニュートン物理の最適化によって意図的に散逸構造を生み出そうという考えとも言えます。

組織やコミュニティの形成

例えば、都市の発展やコミュニティの形成は、個々の人々が持つ異なる価値観やアイディア(反骨精神)と、共に協力しあう必要性(協調)が衝突・融合することで新たな秩序を生み出しています。小さなグループが外部とのエネルギー交換を通じて、独自の文化やルールを形成していく様子は、まさに散逸構造論の実践例です。

イノベーションのプロセス

新しいビジネスモデルや技術革新は、従来の枠組み(既存の秩序)に挑戦する反骨精神と、既存技術や知識を活かした協調の両面が融合して実現されるものです。スタートアップ企業が既存の市場に挑みながらも、業界内外のリソースを活用して成長していくプロセスは、まさに散逸構造のダイナミクスを体現しています。

自然現象の中の秩序

自然界でも、渦やベンチレーション現象、さらには生態系の多様な相互作用の中に散逸構造的な現象を見ることができます。たとえば、河川が曲がりくねりながらも一定のパターンを持つのは、エネルギーの流れと外部との物質交換がもたらす新たな構造です。これを人間社会に置き換えると、社会全体が変化しながらも新たな秩序や文化を生み出していく様子に似ています。

結論:現代における散逸構造論の可能性

現代社会では、量子力学のような複雑で不確定な理論が話題になる一方、実際に私たちの日常や社会の変革を実現する力としては、散逸構造論の示す「柔軟な秩序の創出」が大きな意味を持つと考えられます。具体的には、個人や組織が持つ反骨精神と協調性が交じり合い、新たな文化や革新的な仕組みが生まれる現象は、散逸構造論が説く原理そのものです。

従来の固定的な秩序(ニュートン物理的な多勢に無勢な状態)に対して、変動や対話、エネルギーの流れを前提としたこのアプローチは、現代の流動的な社会でこそ真価を発揮するでしょう。

もっとも昔に理解されたのはニュートン物理であり、その後アインシュタイン物理、量子力学、そして散逸構造論へと至りました。したがって、私たちはどうしても「マクロな視点」から「ミクロな視点」へと段階的に認識しがちです。しかし実際には逆で、ミクロのレイヤーが集積し、マクロの世界を形成しています。

つまり、大きな力に押しつぶされるように見えても、そこにこそ小さな要素同士の結びつきが生まれる可能性があるということです。量子力学の抽象的な理論も興味深いですが、実際に私たちが感じ、変化を実現する原動力としては、散逸構造論の考え方に注目してみる価値があるかもしれませんね。

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